令和7年3月21日(金曜日)、文化審議会が「宮崎県百足塚古墳出土埴輪」を国指定重要文化財
とするよう、文部科学大臣に答申しました。新富町としては初の重要文化財指定となる見込みです。

国指定重要文化財とは
日本各地に数ある文化財の中から、特に重要なものとして国が指定した文化財です。建造物、美術工
芸品、考古資料、歴史資料等などが指定の対象となります。そのほか国指定の文化財には国宝、史跡、
名勝、天然記念物などがあります。
百足塚古墳とは
国指定史跡「新田原古墳群」を構成する古墳の一つである全長約82mの前方後円墳で、盾形の周堤
(古墳の周りにある堤状の施設)を持ちます。出土した埴輪や古墳の形から古墳時代後期(6世紀中ごろ)
に作られた古墳と考えられます。
百足塚古墳では平成9年度から平成16年度にかけて、史跡として整備することを目的とした発掘調
査が行われました。そこでは、埴輪としては頻繁に出土する円筒埴輪だけでなく、ものの形を模して作
った形象埴輪が多く出土しました。その数は西日本でも有数のものであったため、当時全国的な注目を
集めました。

百足塚古墳出土埴輪とは
百足塚古墳の発掘調査で墳丘西側の周堤内外を中心に多種多様な形象埴輪が出土し、個体数も60個
体を超えます。踊る女性埴輪やひざまづく人といった多種多様な形象埴輪が出土しました。
長年かけて整理作業や、調査研究が行われてきた結果、百足塚古墳を中心に出土した埴輪の価値が認
められ、今回本指定35点、附43点の計78点の埴輪が国重要文化財i指定を受けることとなりました。
新田原古墳群出土埴輪は、出土した埴輪の種類や配置の類似性から、継体天皇が埋葬されたと考えら
れる今城塚古墳との関係が指摘されており、ヤマト王権と南九州との政治的・文化的影響を考える上で
も貴重な資料となっています。
附とは
文化財本体に関連する物品や資料等を、価値を補うものや価値をさらに高めるものとして、一緒に指定
されるものです。百足塚古墳出土埴輪では全体像が分かる形に復元できた埴輪は「本指定」、それ以外に
も貴重であることが分かる埴輪や隣接する62号墳(円墳)から出土した埴輪が「附」として指定されま
した。
埴輪の種類と出土した場所
円筒埴輪は筒状の埴輪で、古墳の頂上部分や中段のテラス部分、古墳の周りにある堤(周堤)といった
場所に設置されていました。対して、形象埴輪は家形、人形、動物などの形を模して作られ、一か所にま
とめて設置されることが多く、儀式の様子などを表した埴輪です。中でも巫女や男性といった人形埴輪の
全体像が分かる形で出土したのは、宮崎県内では百足塚古墳だけです。百足塚古墳では、そのほかにも鳥、
犬、馬、家などの埴輪も出土しました。
百足塚古墳出土埴輪の公開について
今回指定された埴輪は、京都文化博物館で開催される「新指定 国宝・重要文化財展」にて令和7年
4月19日(土曜日)から5月11日(日曜日)まで展示されます。 現在総合交流センターでは資料館にて一部
埴輪を展示していますが、主要な埴輪は令和7年6月ごろから展示予定です。
埴輪修復に向けたクラウドファンディングを準備中です
百足塚古墳出土埴輪は、発掘調査後の平成15年ごろに調査担当者の手で復元されました。復元から20
年以上が経過し、接着部分が脆弱になっているものも多く、現在の復元状態では将来に渡って形を留める
ことが難しくなっていくことが予想されます。今回の重要文化財指定の答申を受け、新富町では貴重な埴
輪を後世に渡って保存していくため、今回埴輪の復元修復プロジェクトを始めることとなり現在準備を進
めています。
クラウドファンディングの詳細については、開始次第こちらのページでお知らせします。ぜひ今後の情
報をご確認いただき、暖かいご支援の程お願いいたします。