症状別食事の作り方ポイント

噛むこと、飲み込むことが困難な人の、食事作りのポイント

加齢や病気によって、噛む機能、飲み込む機能が低下しても、工夫次第でおいしく食べることができます。食べやすい食事づくりのポイントをご紹介します。

噛みにくい人の食事

加齢による歯や歯根の老化、虫歯、歯槽膿漏などが原因で、噛む機能は衰えてきます。義歯をつけても合っていないと、しっかり噛むのは困難です。また、何らかの病気で口の周りに麻痺がある人も、噛むことは困難で、飲み込むときの食塊をなかなか作ることができません。

噛めない人の食事は、まず、やわらかい食材を選択します。肉や魚はひき肉やつみれにします。適度な油分や水分、酸味があると、唾液の分泌を促します。

(1)繊維の少ない食材を選びます。
(2)舌や歯茎でつぶせるやわらかさに作ります。
(3)油分、水分、酸味を加え、唾液の分泌を促すような、なめらかな口当たりに作ります。

むせやすい人の食事

摂食、嚥下障害のある人にとって、水分が一番むせやすく、危険な食べ物です。水は、咽頭から食道まで約0.5秒という早さで通過するので、飲み込む機能の低下した人は咽頭の閉鎖が間に合わず、気道に入ってしまいます。だからといって、水分をとらず不足すると、脱水症状になり、脳梗塞などの危険性も高まり、大変危険です。そこで、水分のあるものにはとろみをつけると、効果的に水分を摂取することができます。とろみがあると、飲み込むスピードが遅くなり、気道に入りにくくなります。汁もの、ソース類やあん類にはとろみをつけるといいでしょう。

また、むせやすい人には酸味の強いものも危険です。一方で酸味は唾液の分泌を促すので飲み込みに効果的でもあります。酢はだしで割って使うと、酸味が和らぎます。
(1)形のあるものを選びます。
(2)「サラサラ」した状態のものを避けます。
(3)汁ものにはとろみをつけます。
(4)酢はだしで割って使います。

飲み込みにくい人の食事

噛むこと、飲み込む行為には、唾液が大変重要です。唾液は加齢によって減ってきます。食べ物を咀嚼しながら唾液と混ぜて食塊にし、食道へ移送するからです。唾液が少ないと、食塊が作れず、飲み込みが困難になります。また、舌や頬、唇などに麻痺のある人、舌やのどの腫瘍を手術した人も、嚥下機能障害になりやすくなります。

飲み込みが困難な人は、食塊を作りにくい葉ものや繊維の多い野菜や、パサパサしたものは向きません。また、スムーズな飲み込みのために、サラダ油やバターなどの油脂を料理に使うと効果的です。
(1)「パサパサ」「ポロポロ」した状態のものを避けます。
(2)口の中でまとまりやすい素材を選びます。
(3)とろみのあるあんやソースを添えます。
(4)油脂を活用します。


協力
財団法人 潤和リハビリテーション振興財団
参考文献
「いつもの材料で作るソフト食―高齢者メニュー50」(鉱脈社刊)
「黒田留美子式 高齢者ソフト食標準テキスト上巻/下巻」(リベルタス・クレオ刊)

  

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