新富町職員ブログ
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2016年11月2日 教師は授業で勝負!

教育総務課、教育対策監の森山です。
「教師は授業で勝負」とよく言われるのですが、学校の先生は、「授業の腕」をどうやって磨いていると思いますか?
私のブログでは、町内で行われている学校・教職員の「授業力・指導力」アップのための取組について、2つ紹介します。

(1)「しんとみ学力・授業力向上推進リーダー」の取組
町内の各小中学校から推薦を受けた教頭・教諭に、町教委が子どもへの学習指導方法の工夫・改善に取り組む「しんとみ学力・授業力向上推進リーダー」を委嘱しています。
年間10回程度の合同研究会を行い、よりよい授業について研究するほか、教職員を対象にした公開授業を開き、成果の普及に努めているのです。
合同研究会では、放課後に集まり、各リーダーの研究の進捗状況を報告し合い、意見交換をします。
専門とする教科や学校種の違う教員が集まっていますので、いろいろな観点からの意見が出されます。

 

公開授業をする前には、模擬授業(先生が教師役と子ども役にわかれ本番と同じように授業をする)を行い、効果的な手立てを吟味します。
子どもの目線・意識で考えることができるので、子どもの興味・関心を高めるおもしろいアイディアが浮かびます。

~模擬授業の様子~
中学2年生数学の「確率」の学習です。


「くじは、先に引いた場合と後に引いた場合では、どちらが有利だろうか。」という問題を子どもたちに投げかけ、確率を用いて考える時間にするものでした。
写真のように、実際にくじを繰り返し引いてみて、引く順番によって当たりやすさが違うか実感し、予想する場を設けたらよいと考えて、確かめることができました。

小学6年生の図画工作の学習です。

子どもに「やりたい!」と思わせるために、教師が事前にクラフトバンドで編んで作ったかごをどう見せようかと悩んでいました。
写真は、授業者が作品を覆い隠していた布をガバッとはぎ取り、作品を見せ「みんなにこんな物をつくってもらいます」と発しています。

~公開授業の様子~
今年度の公開授業は、10月末までに2回行いました。
中学2年生の理科「感覚と運動のしくみ」の学習です。
「人は、刺激を受けてから反応するまでの時間を0(ゼロ)にできるか」を推論する学習です。
写真のように教師と生徒で実験し推論します。

 

参観する町内の先生方も「これからどう展開するのか」と見守っています。

小学4年生の算数「面積」の学習です。
「L字型の面積はどうすれば求められるか」を考える時間です。



子どもは自分の考えた求め方を先生に伝えました。
先生はその考え方のよさを意味づけしています。



学習作業がうまく進まない場合には、先生が個別にヒントを与えることもあります。
こうすることで、先生が解き方を教えるのではなく、子どもたちが自分の力で解決し、自分の考えを表現することになり、数学的な考え方を培うことができるのです。

推進リーダーがこのような授業公開を年間6回行います。
授業を参観した先生は、参観して参考になったことを自分の指導方法に取り入れ、授業を改善していくことになります。

(2)講演を聴き、勉強しました
先日(10月21日)、筑波大学附属大塚特別支援学校の主幹教諭のお話を聴く機会を設けました。
仕事を終えた午後7時から2時間の講演会だったにもかかわらず、多くの先生方が集まり、勉強しました。
学級の中にいる「困っている子」がどんなことに困っているのか、どんな配慮が必要なのか、具体的に知ることができました。
この講演会は、幼稚園・保育園の先生方との合同の研修会だったため、幼保小の連携の必要性も確認できました。

  

「教育は人なり」という言葉があります。
よい教育のためには、優れた教師が不可欠であるということです。
梶田叡一氏(兵庫教育大学学長)は、優れた教師が備えるべき資質・条件は「教育的な熱情・真剣さ」と「教育的力量」であると言っています。
「教育的力量」とは、『授業の腕』(授業の技能、授業力)のことです。

学校の先生方は、優れた授業や高い指導技術にできるだけ触れることや、1時間の授業イメージがもてるような書物を読み、講演会で話を聴いて授業の姿を思い浮かべることなどを重ねて「授業の腕」を磨いています。
スポーツの世界で、ベストプレイを何度も繰り返し見てイメージを脳裏に焼き付けるのと同じです。
外科医が、自ら執刀するまでに何度も助手を務めながら、名医の手術を間近に見てその高い技術を体にしみこませるのと似ているかもしれません。

前述したような研修を通して、町内の約130人の先生方は、自分の目指す授業、求める授業のイメージを鮮明にしています。
子どもたちから「今日の勉強はひみつを解き明かすことができて楽しかった。また、やりたいな」という声を聞くために頑張っています。
こうした先生方の取組が、生涯にわたって学び続け、自らの手で豊かな人生を拓く新富の子どもの育成につながっていくことと思います。
そして、日々の授業を通して、自分自身の生き方や人間性までを何かの形で表出している教師は、教え子の心にくっきりと残っていくのではないでしょうか。

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